こんにちは、松山真由美です (^^)
先日、いつもお世話になっているヘルパーさんに、見守りをお願いして、帰り道を歩いてきました。
普段ヘルパーさんと歩くときは、手引きをしてもらい
「もうすぐ段よ。少し上り坂になっているから気をつけてね。信号が青になったから渡るよ。」
など、それはそれは丁寧に、ゆっくり歩いてくれています。
今まで、見えなくなってからはヘルパーさんに甘えっぱなしの私は、全く何も考えず生きていました。
そんな私しか見たことがないヘルパーさん。
だから、犬と私だけでエレベーターに乗り、信号を渡り、階段を上りどんどんどんどん歩いていくその姿に
「本当によくここまでがんばったよね」
と、何度も誉めてくれました。
もちろん嬉しかったのですが、改めて考えてみると、あの1ヶ月の訓練の事を思い出し、私の方がじーんと胸が熱くなりました。
そして、前回の訓練日記7で書いた、ほっこりあん先生の説明会を、今日は私なりにですが、まとめてみました。
日本で盲導犬は約1000頭が活躍しています。
訓練所が11団体しかなく、盲導犬を必要としている方は約3000人。なぜそんなに足りないのか。
それは盲導犬が育つまでには、かなりの費用と人間が必要だからです。
そして、その育成費用は全て募金や寄付から成り立っています。
ここまでは何となく知っている方もいると思いますが、盲導犬が誕生するには繁殖スタッフ、パピースタッフ、犬舎スタッフ、訓練士、ボランティアさんなど様々な人間の力によって育てられています。
1歳までパピーウォーカーさんに、愛情たっぷりに育ててもらい、優しい手でいっぱい愛されるので「人の手はいいものなんだー!」と人間のことが大好きになります。
訓練所に帰ってきてからは訓練士さんが、半年以上かけて、まるで遊んでいるかのように楽しみながら訓練していきます。
始めは「あれ?カムって呼ばれたから行くと、お兄さんが誉めてくれた!わーい、なんだか嬉しいなぁ!じゃあ次もいってみよう!」
そんな誉められたら嬉しい→頑張る!!という、訓練の極意を教えてくれました。
「なるほど!やはりグッドの魔法をかけていたんだー!!」
と、隣で聞いていた私は嬉しくて思わず笑顔になりました。
そして、訓練が終了しても、その中で盲導犬になれるのはほんのわずか。
そこまで大変な道のりを乗り越えてきたこの子たちと、今度は視覚障害者との一ヶ月間の共同訓練で、歩く訓練に入ります。
犬がどこにでも連れて行ってくれるわけではなく、人間が全て判断し指示しています。
信号も人が判断して渡るのですが「青になりましたよ」など声をかけてもらえたらすごく助かります。言うのが恥ずかしかったら「青だ!!」というだけでもいいのですよ。
説明会のすぐ後、犬と二人で信号待ちをしていると、小学生の男の子が、わざと私に聞こえるように「あ!青になった!渡るよー!」といってくれたのです。
あまりにも嬉しすぎて思わず「ありがとうー!」と言ってしまいました。
訓練所を卒業してからが始まりで、言えば小学一年生みたいなもの。
入学したての一年生に、「ちゃんといすに座りなさい」とか、「国語の本読みをしましょう」と言っても無理なように、犬も松山さんも一年生と同じように全てがこれからなのですよと、子どもにもわかるように説明してくれました。
「盲導犬は人が大好きなので、目があったり、名前を呼ばれたり、なでられたりなんかしたらもう大変。
わーい!嬉しいー嬉しいー!となって、お仕事に集中できなくなってしまうのです。
それともう一つ、犬には触れず、今まで通り松山さんにはどんどん話しかけてあげてくださいね」といってくれたおかげで、今まで話したことがない方も声をかけてくれたり助けてくれるようになりました。
多くの人が温かい気持ちになってもらえたら、盲導犬を持たせてもらえた意味が、ドーンと大きく広がっていくのになぁ!と、いつもそんなことばかり考えている私でした。