こんにちは、松山真由美です。
先週、クリスマスイブの日になんと一日にしてミラクルが3つも起ったのです。
なにが起きたのかというと、今月の始めにラシ君と二人で、念願だった「初めてのおつかい」に行ったのです。
盲導犬を持ちたいという当初の目的は、
「職場から家に帰れるようになりたい。そして、帰りにスーパーに寄って帰りたい。」というものでした。
ですが、すぐに迷子になる私達には、真っすぐ帰るだけで精一杯。
でも、もう一年が経つし、そろそろスーパーデビューをしたいなぁと思い、先月ほっこりあん先生に訓練に来てもらいました。
私の中では、駅前はいくつもの道に分かれていてかなり複雑。
しかも、帰り道に私達にとっては非常に難関であるスロープが待っているのです。
駅から帰る時に、一度も成功したことがないスロープ。
なぜなのか、今までどこのスロープも一筋縄では見つからないのです。
ほっこりあん先生は「今までだって、何とかなってきたので、これぐらい大丈夫ですよ!」と、余裕たっぷり。
次の週
「よーし!がんばるぞー!」と、ラシ君と二人、気合いを入れていざスーパーへ。
行きはスムーズ、よしよし!いい感じ!
何とか店員さんに援助をお願いし、買い物をすることができました。
「やったー!これこれ、これがやりたかったの!普通の人みたいにお買い物ができたー!」
そしてここからが肝心の帰り道。
いやな予感は当たるもので、見事に迷子になり、あっちにウロウロ、こっちにウロウロ。
結局通行人に助けてもらい、なんとかかんとかスロープへ。
家について、ほっこりあん先生に、「迷ったけど、買い物して無事に帰ってこれました!」
すると「買い物ができたのなら、それは成功ですよ!そのうちスムーズにいけますよー!」
しかし、何度行ってみても、全然スムーズにいけないのです。
ある日、
「この階段には落ちることは絶対にないので安心して!」
と言われていた階段に行き、落ちそうになったのです。
その日もウロウロ迷い、
「ツゥーザスロープ」と言い続けていると、ラシ君がピタッと止まったので
「よーし!ついにきた!グッボーイ!!」嬉しくて足を出してビックリ!
ガクッ!と段差に足が落ちたのです。
「え??どういうこと?」と思った瞬間
「危ない!そこは階段よ!」と、通行人に助けてもらい危機一髪。
「え?なんで?ほっこりあん先生は、この階段に行くことはまずない!といったのに、なんで?」
次の瞬間、頭の中がグルグル周り、私の中でミラクルが起こったのです。
「えー!うそだぁ!まさかー!スロープがステップに聞こえたの?」
「母ちゃん、やっと気がついてくれた?ぼくは悪くないよー!
先生は、階段に行ったらダメっていってたのに。母ちゃんが、ステップ!ステップ!て言うから。」
信じられない!
今まで、なんでこんなにスロープで迷うのかな?と疑問だらけでしたが、まさか私の発声が悪かったからだなんて!こんなことってあっていいの?
いつもスロープでラシ君が迷うので、焦る気持ちからつい、
「ツザ、スロップ!ツザ、スロップ」と力み過ぎて、早口になっていたんだ。
ラシッドには、ぶつぶつ念仏のように聞こえていたのかも知れないなぁ!
ほっこりあん先生によく、「自信を持って!
もっとはっきりラシッドに伝えてあげて!」と言われていたので、
私の中では、はっきりきっぱり言っているつもりだったのです。
まさか全ては、私の発音不明瞭さが招いた悲劇だったとは。
ラシッドごめんね。
「ステップ?スロープ?どっち?」と困っていたんだね。
そして迎えたクリスマスイブの日。
朝一番のお客さんは、コーラスをされている美声の持ち主。
その方が、私のこの話を聞いて「魔法の発声法」を、特別に伝授してくれたのです。
すごーい!どんどん自分の声が変わっていくー!
すると、今まで自分が、なんてへにゃへにゃ喋っていたのかがわかったのです。
今まで、人間同士なのでそれなりに会話になってきたので、相手にどう伝わっているかなんて、考えたこともありませんでした。
「何を伝えるかよりも、どう伝えるかなんだなあ。
もっと、相手の気持ちを考えないと、伝えたいことは伝わらないんだなぁ。」
そして、その日の午後、良いことは続きとても嬉しいことがありました。
去年の10月まで、お店に、あーちゃんという女の子が、天使の羽を出すため、通ってくれていました。
あーちゃんは、長い間病気のため家にこもりがち。
ですが、いつしか笑顔を取り戻し、「私も、松山さんみたいに人を癒やす仕事がしたい」というぐらいまで元気になってくれたのです。
それが、去年の10月
「盲導犬の訓練に行くから、しばらくの間待っていてね。」といって以来、ピタっと来なくなってしまいました。
それが1年3か月ぶりの、クリスマスイブの日に予約が入ったのです。
それだけでも嬉しかったのに、
「私今、マッサージの学校に行ってるんです。いろいろあったけど、訓練日記を読んでいたら、松山さんもがんばってるから、私もがんばろう!と思えたんです。本当にずっと励まされてきたんです。」と言われたのです。
私は、久しぶりにあーちゃんにエステをしながら、もう涙がウルウルでした。
しかも、アルバイトも始めたらしく、
「もっと早く来たかったけど、なかなか来れなくて。初給料が出たら、一番に来ようと決めてたんです!」
嬉しすぎて、私の心はもう我慢の限界。
なんと帰り際に、
「渡したいものがあるんです。これ、みなさんで食べて下さい。」
と、初給料で買ったという、サンタさんのかわいいお菓子をくれ、カレンダーも買ってくれたのです。
今までエステをしていると、感極まってお客さんが泣いてしまうことはよくあるのですが、私が泣かされたのは初めてでした。
「嬉しい!元気でいてくれて本当に嬉しい!
まさか、私たちの訓練日記が役に立っていたなんて!
ラシッド!がんばってきて本当に良かったね!」
そして、その日の帰り道、最後のミラクルが起こったのです。
初めてのおつかいの後、なかなかスロープに行けず、ほっこりあん先生に助けを求め連絡したら、
「今、長野県のユーザーさんのとこから帰っているところなんです。」と言われました。
そんな遠いところのユーザーさんは、困ってもすぐには助けに来てもらえないよなぁ!と思えば、
「私も、甘えていないで、がんばろう!」と、数週間独り必死でスロープと戦っていたのです。
しかし、たまたま前日23日の夜、ほっこりあん先生に連絡する用事ができ、聞くぐらいいいかな?と思い、ついでにスロープまでの道順を再確認しました。
そうしたら、私が迷いすぎてパニックになり、忘れていた大切な事を教えてくれたのです。
「最後は右に曲がり、10歩で止まり、真左を向いて真っすぐ進む。
そして左のスロープへゴー」
そうだった、そうだった!すっかり忘れていた!と思い、
早速帰り道、魔法の発声法と共に試してみました。
10歩で停止
「レフト、ツゥーザ、スロォープ!」
すると、ものの見事にスロープに行くことができたのです。
「やったー!やったー!ラシッドー!グッボーイ!」
もう嬉しくて、涙が止まりませんでした。帰ってほっこりあん先生にご報告。
見えていたら絶対に起こらないミラクルばかりですが、私にとっては凄いこと。
なぜなら、あまりにも駅前で迷いすぎたため、本気でサンタさんに「スロープが見つかる魔法の杖を下さい!」とお願いしていたほど。
結局、魔法の杖はもらえなかったけれど、それ以上に大きなプレゼントをもらい最高のハッピーメリークリスマスになったのです。
こうして、一年の終わりに、3つもミラクルが起こり、感動の締めくくりとなりました。
その中でも、私が一番驚いていること。
それは、魔法の発声法により急に三線が上達し、歌がとっても歌いやすくなったということです。
来年は、電車やバスに乗って、いろんな場所に行ったり、三線のコンクールで優勝することが目標ですが、今回のことで、全てが良い方向に向かって行く予感がします。
では、来年はもっと成長したラシ君をお届けできるようにがんばるので、これからも訓練日記楽しみにしていてくださいね(^o^)
〈思いやり 自分本位じゃ 届かない〉